7月7日は七夕です。
実は、七夕は日本だけでなく、
中国・韓国・ベトナム・フィンランドなどにも
あることをご存知ですか?
日本の七夕は、元々中国の行事だった七夕(しちせき)と、
日本の棚機津女(たなばたつめ)の伝説が
おり混ざって生まれたと言われています。
今回は、世界の七夕伝説の中で、
日本の七夕に影響を与えた中国の七夕伝説と、
日本の七夕によく似たフィンランドの七夕伝説を
ピックアップして、ご紹介します!
本場中国の七夕伝説は壮大なスケールの物語
昔、天界の東側に
美しい天女の7人姉妹がいました。
天女たちは機織りを仕事にしていて、
織る布はまるで雲のように美しく軽く、
「天衣」と呼ばれました。
天衣を羽織ると天界と地上を自由に行き来できます。
ある日、天女たちは天衣を羽織って、
地上に水浴びに出かけました。
同じ頃、地上には「牛郎」と呼ばれる
一人の若い青年がいました。
牛郎は早くに両親を亡くし、
年老いた一頭の牛と貧しい暮らしをしていました。
ですが、牛郎はこの牛をとても大切にしていました。
ある日、その老牛が突然人間の言葉を話して、
牛郎にこう言いました。
「今、天界に住む7人の美しい天女たちが、
地上に降りてきて水浴びをしています。
今のうちにこっそり天衣を隠しなさい。
すると天女は天界に帰れなくなり、
あなたの妻になります。」
牛郎は言う通りに1枚の天衣を隠し、
天界に帰れなくなった天女の末の妹=「織姫」を
妻にすることになりました。
牛郎は田畑仕事をし、
天女は機織りをして、
二人の子どもに恵まれ、
幸せに暮らしていました。
ところが、しばらくして織姫の母である天の上帝が、
いつまでも天界に戻らない織姫に怒り、
織姫を天界に連れ帰ってしまいます。
すると、老牛がまた言葉を話します。
「私を殺して皮を剥ぎ、
その皮をまとって天界まで織姫を追いかけなさい。」
牛郎は悲しみながらも、老牛の皮をまとい、
子どもたちを連れて織姫を追いかけます。
ついに織姫に追いついたそのとき、
天の上帝が自分の金のかんざしを抜き、
織姫と牛郎の間に一筋の線を引きました。
するとその線からたちまち水があふれ、
天の川になり、二人を東西に分けてしまったのです。
しかし、それを悲しむ牛郎たちを見て
天の上帝は哀れに思い、
年に一度7月7日の夜にだけ、
夫婦と親子が川を渡って会うことを許したのです。
天女の羽衣伝説も中国から伝えられた物語
…日本の七夕の伝説では、彦星も天界の人なので、
天界だけ起きたお話でした。
中国の七夕の伝説では、
彦星=牛郎は地上の人で、天界と地上をまたいだ、
より壮大なスケールの物語でしたね。
ところで、天衣のくだりは、
なんだか聞いたことがありませんでしたか?
そう、「天女の羽衣」の伝説ですね!
この話も、実はこの中国の七夕伝説から
きたものだったということも分かりましたね!
日本の七夕伝説と酷似!?遠く離れたフィンランドの七夕伝説
多くの国で語られる七夕伝説ですが、
遠く離れたフィンランドの地では、
なんと日本の七夕伝説に似ている話が語られているのです。
昔、ズラミスとサラミという
夫婦が暮らしていました。
二人はとても仲が良くいつも一緒でした。
しかし、どんなに仲が良くても、
死ぬときは別々です。
二人は死んだ後、別々に天に登り、星になります。
二つの星は遠く離れて存在していました。
二人は星となっても一緒にいたいと思いましたが、
あまりに遠くて会うことも叶いません。
そこで、空の星屑を集めて星の橋を作ることにしました。
それを渡れば、きっと会えると考えたのです。
二人はそれから毎日小さな星くずを集めて橋を作ります。
しかし二人の距離は遠く、なかなか完成することはありませんでした。
それでも二人は懸命に星を集め続けて、
千年が経ち、ついに星の橋が完成しました。
これが天の川です。
二人は天の川を渡って出会い、
長年の思いを果たすことが出来ました。
日本の七夕伝説のように織姫と彦星は登場しませんし、
天の川は川ではなく橋として語られています。
しかし、フィンランドの昔の人も、
光り輝く星たち…ベガとアルタイルと星の集まりを見て、
男女の恋物語を考えついたのですね。
日本とフィンランド、遠い地でも同じ星を見て、
似たことを考えていたと思うと、なんだかロマンチックですね!
まとめ
今回は、日本以外の七夕伝説についてご紹介しました。
日本の伝説と関わりの深い中国の伝説は、
織姫と彦星の恋愛にまつわる七夕の伝説に加えて、
天女の羽衣伝説も同じ物語として
語られていることが分かりました。
遠く離れたフィンランドでは、
死んで星となった2人が、
星になっても一緒にいるために作った橋として、
七夕に関連した星々のことが語られていました。
日本以外の伝説を知ることも面白いですね!
また、こちらの記事では日本で語られる七夕物語を
こどもたちにどうお話しするかという視点でまとめています。
是非ご覧になってみてくださいね。